東芝 苦渋の戦略転換
1月27日、東芝は主力の原子力事業を大幅に見直すこと、及び稼ぎ頭である半導体メモリー事業を分社することなどを発表しました。
この一週間の間で、昨年発表済みの米原発事業による損出が、想定を大幅に超えて17年3月期に最大で7,000億円の損出計上の見込みであることが報道され、資本増強のための金融支援や、半導体部門の分社化やそれを皮切りにした実質解体論までがささやかれるようになりました。
原子力事業については、
「原子力をエネルギー事業の再注力領域としてきた位置づけを変える」
ということ
「原発プロジェクトのコスト管理やWHの統治強化を図る」
との説明が綱川社長からあった模様ですが、東日本大震災の影響で各国の安全規制が強まったこと、日本での原発離れから、海外への事業展開を測りながら日本流のビジネスをそのまま展開し、事業環境の違いなどをきちんと理解していなかった感があり、経営責任は免れないと思われます。
不正会計からの出直しで、原子力と並んで柱とされていた半導体事業は、儲け頭であるにもかかわらず、原子力事業のあおりを受けて分社化を余儀なくされた格好です。
志賀会長は、原子力事業を実質的にけん引していたこともあり、責任をとって退任する意向を示しています。
16年度中間期の決算では、半導体の好調で回復基調であると言っていた東芝が、数か月で原子力事業での大幅損出が発覚し、柱を失って新たに再建策を模索していくという厳しい状況が浮き彫りになっています。
米原発事業での損出発覚から見えるのは、日本企業のトップが現場を見ていないのではという疑問と、日本流のやり方をグローバルでそのまま使おうとする安易な考え方のような気もしてきます。
経営の重要性、あるいは難しさを改めて感じます。